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そろばんを弾く音にまじって聞こえてくるのは、日本語、英語、和製英語。テンダラーズ($10)、エイティーンダラーズ($18)・・・・、円の代わりに、ドルで読み上げ。大阪珠算協会では、毎週土曜日、朝10時から同協会会議室で『外国人のための珠算講座』を開催している。2001年2月10日(土)朝、開講時間前から生徒達が集まり始め、会場のあちこちで協会の先生方によるマンツーマン指導が始まる。国籍、職業、年齢も関係無く、様々な受講生がここに集まり、約2時間、プロの講師からみっちり指導を受ける。熱心に練習をする外国人生徒、熱のこもった指導をする先生方の姿からは、珠算教育に普遍性があることを実感させられる。11時の休憩時間には、協会の森友副会長から、今回から参加することになったパキンスタン人のアミン・ムハマドさん(ビジネスマン)を紹介。続いて、2人の見学者を紹介。一人は日珠連から取材にきた土橋専務理事、もう一人は、近々、アフリカのエリタリアでボランティア活動に参加する小谷典子さん。休憩時間が終わると、担当の先生の"スターティングウィズ(=願いましては)の言葉で、英語読み上げ算が始まる。読み上げが終わると、先生からザッツオール、ディ・アンサー・イズ・・の声。正確に回答できた生徒達が"ゴメイサン(ご名算)"と応える。読み上げは、年齢に関係なく先生方全員が交代で行う。日本と世界、日本人と外国人の、そろばんを通じた国際交流が見事に実を結んでいた。この講座を直接目にした者は、言葉で表わせない感動を覚えるに違いない。
"日本の文化であるそろばんを外国人に学んでもらうことで、外国人はもとより、日本人にもその魅力を見直してほしい。そして、日本全国でこうした活動が展開されるようになることを期待している"と、森友副会長は語った。この講座は、本年6月で、丸15年を経過する。この間、61カ国、665人の受講生がそろばんを学んでいる。受講生に、そろばんに興味をいだいたきっかけを聞くと、「ご飯を食べにいった店に、そろばんが置いてあるのを見て、"あれ何?って、それが出会いのきっかけ。」「珠を弾く音がとても好き。」「そろばんは日本文化の代表。」「電気のいらない世界唯一のコンピュータ」。外国から来た受講生たちの声からは、そろばんを見慣れている日本人とは違う、新鮮な驚きが伝わってくる。 この講座には、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、マレーシア、スリランカ、中国、タイ、ブラジル、ニュージーランド、ドイツ、チェコなど世界各地から来日したビジネスマンや研究員、語学教師、留学生などが参加しているが、現在の講座には11カ国25名が参加している。教える先生方は15人。すべてボランティアで、受講生1人1人の語学力や技能レベルに合わせて、きめ細かい指導が行われている。「先生はわかるまで何度でもやさしく教えてくれる!」という受講生たちの言葉からは、指導の様子がそのまま伝わってくる。ほぼ15年間に亘って休みなく継続されてきた大阪発『外国人のための珠算講座』の輪は、世界に着実に広がっている。母国ドイツに帰国したある受講生は、この講座で学んだことをもとに、ドイツ語のそろばん教材を制作。時には、帰国した生徒が、母国でそろばんを教えているといった連絡も入ってくるという。こうした珠算人の地道な努力が、そろばんの素晴らしさを、日本中、世界中に伝えていくことになる。2001年2月11日(日)の日商の珠算検定試験2級には、この講座から3名の外国人生徒が挑戦する。
1986年6月、現代の科学万能の時代に、長い歴史を持つ珠算の存立が是認されるのか否かを、諸外国の知識人層に問いかけることを目的にスタートした『外国人のための珠算講座』も、丸15年を過ぎようとしている。この間、61カ国から665人の外国人がそろばんを学び、たくさんの人が高い水準の技術を身につけてくれた。
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●珠算 初段1名、日商1級1名、2級4名、3級22名、4・5・6級は約210名 ●暗算 1級1名、2級1名、3・4級は約50名 |
今までの講座の展開から、機械・科学中心の現代社会においても、珠算の存立意義と社会的貢献の度合いは高いと実感している。コンピュータの発達と普及という側面と珠算の活用という側面は互いに相容れないものではなく、むしろ共生していくものであるということを学ぶことができた。コンピュータの普及と使用からは、いろいろの弊害・問題点が生じてくる。反面、珠算は、人間の基本的能力を磨き上げて身に付けていく技術であり、そのトレーニングそのものと、その過程で得られる忍耐力・向上心などは、正に教育の基礎・基本をなすものであって、機械化からの諸々の弊害を薄め、消去する働きをするものだということも理解できてきた。それぞれの国の違った文化をバックグラウンドとして、一つの日本文化"珠算"を指導していくことで、真の国際交流、国際親善を体験し、実践してきていることが実感できる。それにともない、珠算人の国際感覚も少しずつ高められているのであろう。現代社会における、特にコンピュータ化の中での珠算の意味、そして、珠算教育の意義を世論に説き、理解を深めてもらうことは火急の作業である。これらの作業は、珠算人の手であらゆる手段を通じて積極的に行うべきことは当然のことである。ことに、マスコミの報道を通じてこれらの作業が行われることは、その考察の客観性、社会全般への浸透性の高さを考えるとき、最も望ましいことである。 ほぼ15年間に亘る講座の展開に関連して行われた、マスコミの珠算と珠算教育に関する各種報道は、以下のような内容になっている。これは前記のようなマスコミ報道の特性から、珠算にとって、珠算界にとって大きな成果につながる。
外国人講座に関するマスコミ報道(過去14年間の集計)
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●テレビ放映・・約40回(NHK10、毎日9、朝日5、関西5、読売3、大阪2、その他6) ●ラジオ放送・・約20回(NHK11、大阪2、毎日2、その他5) ●日本字新聞・・109回(日経10、読売19、産経15、朝日9、毎日8、その他48) ●英字新聞・・22回(毎日デイリーニューズ10、デイリー読売6、ジャパンタイムズ 4、その他2回、関西タイムアイトは頻繁) ●仏字新聞・・1回(ル・メトロポリツーン) ●中国語誌・・1回(斎魯珠壇=山東省珠算協会) |
マスコミが、これほどまでに珠算を、大きく、センセーショナルに報道し続けてくれる理由は、いくつか考えられる。外国人のための珠算講座を通じて、珠算が日本だけのものではなく、また、古い時代遅れの計算テクニックでもなく、それは広く世界に通用するものであり、コンピュータ時代においても十分に存立していける計算の文化であることが理解できるからであろう。同時に、現代の教育の基盤の中で、珠算は、基礎・基本の部分を形作るものであることを明確に認識して評価してくれるのだろうと思われる。この講座に立ち会ってくれたマスコミ関係者の殆どが、日本の珠算に対する今までの概念を大きく変化させ、珠算の持つ世界性、現代性、普遍性に目を見張り、新しい視点からの珠算理解者になってくれる。珠算に関わる者にとって冥利に尽きる感じがする。将来の珠算復権を目指す、珠算教育強化のための運動の一つのモデルとして、この講座を位置づけて、誠心誠意心での指導を続けていくことが、広く一般人の珠算理解につながっていくものと信じている。 |