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本稿は、去る8月8日、神戸市において開催された「第22回国際珠算競技大会」において、台湾側から提供された資料を、中国珠算教育問題研究会・大谷茂義氏(大阪珠算協会会員)に翻訳をお願いしたものです。本資料に関して、大谷氏から次のような感想が寄せられています。
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◆中国珠算教育問題研究会・大谷茂義氏の感想 私自信1993年頃から中国との珠算交流をおこなってきましたが、1991年頃から台湾と大陸の珠算交流が行われていたことは知っておりました。しかし、台湾の珠算界がこれだけ活気のあることは知りませんでした。日本も大いに学ぶべきものがあるように思いました。最近、上海市珠算協会の任賛榮先生からきた手紙によると、近々台湾との学術交流をやるようです。翻訳文中に吉林省のことが書いてありましたが、私も昨年吉林に行って来ましたが、同じような感想をもちました。吉林には十段位の選手が全国で13人の内8人おります。最年少者は11歳で、この少女は計算速度が秒速24字です。文中に書かれた"双手運珠"は、中国では学前班(小学校に上がる前)から教えておりました。一口清(いっこせい))は、中国独特の伝わっている算法によるもので、この訓練による成果は素晴らしいと思いました。 |
※本稿に関する感想、また、中国における珠算事情などに関するご照会は、中国珠算教育問題研究会・大谷茂義氏(住所=東大阪市中石切町1−3−11、TEL・FAX=0729-81-3973)までお寄せください。 |
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珠算は1000年を超える根源をもつ貴重な文化資産であり、そしてまた永い歴史の中で果たしてきた商業計算の宝物でもある。中華民国台湾地区は1952年以来、当時は省商会の前身である台湾省商会連合会が、台湾地区の珠算教育の水準を高め基礎的な商業財務会計の人材の養成を行ない、珠算商業文化の精粋を発揚する等、多面的な理由により、台湾省商会連合会珠算促進委員会を結成して珠算を発展させる活動を行なってきた。以来、今日まで50有余年を迎える。 現在、台湾地区の珠心算組織は雨後の筍のように続々と生まれてきている。台湾省商業会珠算委員会のほか、30年の歴史がある全国商業総会商業珠算委員会、中華民国珠算学会、国際珠算連合会中華民国分会が含まれており、最近成立した中華実用珠算研究学会、中華民国児童珠算協会、中華珠算学術研究学会、台北市珠算心算学会等々20を超える珠算団体が、共同の理念と目標の下にそれぞれが協力しあい台湾地区全体の珠算心算学習の風潮を盛り上げ、毎年学習する人口がおおよそ20万人を超えるという、欝勃(ウツボツ)とした状況を醸し出しており、誠に喜ばしいことである。 台湾地区珠算事業はこの50年来の発展の下で、多様な風格と特色を持つようになり、今ここに皆さんとこの成果を分かちあいたい。 |
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1.多様な活動を推し進めてきた |
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創意に満ちた発展の中で、台湾地区の珠算普及活動は、伝統的な珠算競技だけでなく、珠算検定や、各単位が発行する定期或いは不定期の各種珠算刊行物、普遍的に行われている指導者の資質向上のための研修会・学術座談会、推広説明会、国内外交流座談会等々、形を変えた宣伝或いは宣導工作、ときには学術界に対し珠算教育が児童の数学能力、理解能力と学業成績への影響の研究を要請しており、また、珠算の世界的交流を図るインターネットの企画(www. tcoc. org. tw)や、珠算を広めるためのポスターづくりのコンクール、或いは学生を指導して計算方面の世界記録づくり等を行ってきた。以上のように種々話題のあるものを推し進め、全体として珠算学習の風潮を盛り上げてきた。 |
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2.学習人口の若年化 |
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コンピュータの科学技術の発展によって、珠算による計算機能はやや低下してきている。以前は台湾地区の珠算教育の中心は、商業専科学校(大専)或いは商業職業学校(高中)の珠算課程で行われてきたが、徐々に選択に変り、ついになくなるところまできた。台湾地区の珠算教育を推し進める単位は、正規の国家教育体系から民間の珠算心算班に移り、課業補導班(学習補修班)または課後安親班(課外授業班)が中心となってきた。しかし、このような状況によって、珠算教育活動は比較的少ない学校単位から、各地の心算班及び課補班へと広がっていき、点から面へ学習人口が増加していき、百花斉放のように欝勃(ウツボツ)とした気運がうまれてきた。 現在、社会の発展により、すでにそろばんは計算する主要な用具でなくなっており、更に、教育機構でも正規の学校からなくなっているが、しかし数年来、珠算界の先導を推し進めた結果、多くの父兄は珠心算が学生に対し知能の発育にとって重要であることをよく認識しており、したがって、現在学習人口はすでに主な高中、高職の学生の100分の80以上はみな、幼稚園の年長及び小学校の時から習っており、入学年齢の一番多いのは満4歳から小学3年生の児童である。児童は課外時間を利用して習いにくるが、平均毎週2日で、1回90分である。学習する人口が若年化してきており、台湾地区が再び優秀な選手が現れるようになって、常に新しい代表が国内外の各種競技会に参加できるようになってきた。 |
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3.教育内容の市場化 |
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市場(社会)の求めに応じ、珠心算班・課補班の教育課程の内容もまた逐次部分的に変化してきた。たとえば、珠算検定の種目も、珠算と心算の2部門にわけられ、その中で、珠算検定内容も3つの種目(乗算、除算、加減算[見取算]、制限時間各10分)に分けた。練習時間及び分量を比較的に長く且つ合格率は心算に比べ低くした。したがって、検定人口の100分の70は心算だけ受験しており(乗暗、除暗、見暗で制限時間各3分)その外の100分の30は珠算及び心算全種目の検定を受けた。心算と珠算の学習人口は現在7対3の割合である。 基本的には、台湾地区の学童は珠算と心算を同じように学習しているが、第1年目はだいたい珠算6級、心算5級で、第2年目はだいたい珠算3級、心算2級程度。 第3年目で珠算1級、心算が段位程度となっている。当然、心算を教える主体としており、短時間内に進度進級が更に速まり得ることは前述のとおりである。 しかしながら、欠点もあり、それはといえば、珠算の基礎が不足しており、口数及び位数が安定しにくく、学習が途切れがちになり、停滞することもあり、珠心算の学習効果に影響がでている。 その外、若干の教育部門では、正常な珠心算の授業のほか、追加費用を出して数学を習わせたり、或いは珠心算学習が小学3・4年生になったか、一定の程度に達した後、学童の珠心算学習をやめてもっと数学の学習をすすめるようなことも起っている。心算を数学の計算に運用する中で、その効用がある以上、珠算教育は多元的な時代に入ってきているのではないだろうか。 |
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4.事業発展の組織化 |
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台湾地区の珠算事業は、個人的な拠点または地区で割合にうまくいっているのを除けば、企業界との連携と交流の下で、徐々に連盟という戦略的観念が出来上りつつあり、自己の良好な教学系統による管理及び行政体系をつくって同業を集め品格のあるグループをつくるとか、関連業務を行う組織をつくるとか、珠心算団体の同好組織の結成とか、競技や宣伝その他珠算業務の共同事務を行う組織とか、それぞれ行き渡り方が違った合従連横がすすんでおり、まさに台湾地区の珠算は欝勃とした発展の方向に入ってきている。 |
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5.研究・交流の国際化 |
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台湾地区は、国際珠算協会が1960年代に、中、日、韓3国で共同発起して成立させてから、お互いに訪問と競技と研究を行ってきて、国際間の珠算教育訓練等珠算学術技術の経験交流を行ってきた。 近年来、中国大陸との交流の機会があり、吉林省の珠算普及教育を知ることができた。双手運珠、一口清(いっこせい)等の教育方法である。更に浙江省の三算教育等、みな台湾地区の発展とは違った極めて成就した珠算成果である。そのため、更に広範な交流と相互訪問を行っていきたい。同時に、香港、シンガポール、マレーシア、アメリカ、カナダ、等の地区の珠算団体とも交流をすすめていき、違った文化地域間に対しても珠算教育の経験を交流し理解を深めていきたい。 |
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6.全地球的に経験を広めよう |
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永い間に、人口の移動は、国際貿易の発展の影響も受けて、世界各地至る処に華人華僑の存在がある。珠算の普及と、華人の子弟の学習需要等が求められており、前述の多くの珠算団体が交流と相互訪問を行った影響下で、多くの国々では珠算教育機構か組織が設立してきており、珠算熱が高まってきている。台湾地区の珠算事業の市場競争の経験から、多くの国に技術移転の協同方案をつくり、最も良い人選を行っている。もっとも、東南アジアにあっては、例えば、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ等においては、当地の人脈資源と結合して、系統的に営業戦略の下に行ってきた。これらは非常に大きな成果と反響を得ることができた。学習人口は時には倍増しており、特にアメリカ、カナダ、中米、オーストラリア等では多くの珠算同好がみな余力で珠心算教育活動を行っている。 最近、台湾地区の珠算界は汎太平洋珠心算協会を再発起設立した。会員は、中華民国、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、カナダ、アメリカ、香港等の国と地域である。毎年輪番で各会員国において競技会及び学術交流を行っているが、世界の更に多くの国が珠心算教育を推し進めていくことを望んでいる。特に、幼児教育上更に多くの成果が得られることを。 今日、コンピュータの科学技術が日々新たに変っており、電子計算機が大幅に応用されて、珠算の機能が徐々に低下しているとはいえ、珠心算の学習は浸透していっており、珠算の脳力と智慧の啓発、ロジック思考の強化、数学運算の向上、記憶力の強化、意志を鍛える等、多重機能を発揮する等、国民の素質教育を成就させ、優秀な次世代を養成する偉大な事業である。これは正にみなさんの永年来の積極的に推し進めてきた珠算活動の最大の意義である。
(本稿は、当連盟機関誌「日本珠算」(第565号、10月1日発刊)から転載したものです。)
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