過去450年間、私たち日本人は、そろばんの恩恵を大きく受けながら、経済・教育・社会活動を順調に発展させてきた。
しかし、20世紀後半からの機械文明の急激な進展と、30年ほど前から顕著になってきたコンピュータ多用の社会システムへの変貌の中で、社会生活と教育の中に占めるそろばんの役割と評価は、年を追うごとに低下する傾向を示してきたことは否めない事実である。
また、2002年4月から実施されている現行の小学校学習指導要領では、目的とされる「ゆとり教育」のために学習内容が3割削減され、前回の改訂と合わせると学習内容は半減した。
こうしたことにより、子供たちが学力の基礎・基本となる計算力や思考力を学ぶ機会が減少し、その結果として国民に学力低下の不安が拡大しているのは、教育再生会議第一次報告でも指摘されているところである。
私たちは、「『ゆとり教育』を見直し、学力の向上を図るとともに、規範を教える」とする教育再生会議の基本的考え方に賛同するものであり、そのひとつの具現化方法として、そろばんが本来持つ特性を生かして、基礎学力の確保と強化に貢献し、引いては子供たちの健全な育成に役立つことを目指すものとしたい。
そのためには、初等中等教育および高齢者を含む生涯学習におけるそろばん教育の必要性ならびに有効性について、科学的根拠を持ったデータとともに社会に向けて発信し、理解を得ていくことが肝要と考える。
日本珠算連盟は、以上の趣旨にご賛同いただける有識者の方々のご協力のもと「日本珠算連盟そろばん有識者懇談会」を発足させ、そろばん教育の意義および将来の方向性について議論と研究を重ね、その成果を教育界や社会に訴えていきたい。具体的には、本懇談会は下記の活動に取り組み、必要に応じて専門分科会を設置するなどしてその実現を図っていくこととする。 |